エホバの証人ブログ-jw一般信者タピコの視点から

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幹細胞移植に対する聖書的な見方を説明できますか

 先日、会衆内のある姉妹と話していて、幹細胞移植の話になりました。
そこで、幹細胞移植について、必ずしも正しく理解されていないようだと思い、この記事を書くことにしました。
これを読んでおられる兄弟姉妹の皆さんは、幹細胞移植についての聖書の見方を説明できるでしょうか。

幹細胞とは何か

 まず、幹細胞(かんさいぼう)とは何かから簡単に説明します。
幹細胞とは、「細胞を造る細胞」で、血液細胞を造る造血幹細胞、神経系の細胞を造る神経幹細胞などがあります。
これらは、同じ種類の細胞を造り続ける幹細胞(組織幹細胞)ですが、「どんな細胞でも造れる幹細胞」もあります。
それが、多能性幹細胞と呼ばれるもので、血液でも皮膚でも臓器でも、どんなものでも生み出せて、造血幹細胞や神経幹細胞さえも造り出せるものです。
血液を造り出す能力が低下した人に造血幹細胞を移植すると、血液を造る能力が強化されます。
輸血の場合、減ってしまった赤血球や白血球を一時的・緊急的に補うもので、輸血した赤血球や白血球がいずれ寿命を迎えると、もう一度輸血しなければなりません。
造血幹細胞移植をすれば、血液細胞を造り出す能力自体が強化されますので、長期間にわたって効果が発揮されます。

どうやって移植するのか

 自分の幹細胞を取り出して自分に移植する場合(自家移植)と、他人のものを移植する場合(他家移植(同種移植))があります。
他人の造血幹細胞を移植する場合は、他人の骨髄・血液・臍帯血から取り出した造血幹細胞を点滴で入れます。
現在、幹細胞移植の分野では、目まぐるしいほどの技術の進歩が起きていて、ここで何かを解説してもすぐに情報が古くなってしまいますので、最新の情報については、その都度お調べいただければと思います。
外部サイトのリンク掲載も控えます。

聖書の教えと引っかかってくる部分

 さて、ここで考えないといけないのが、幹細胞の種類です。
先ほど、幹細胞には組織幹細胞と多能性幹細胞があると書きましたが、多能性幹細胞にはES細胞やiPS細胞、ミューズ細胞があります。
これらはどう違うのでしょうか。

 ES細胞とは、胚性幹細胞とも呼ばれ、人の胚から取り出した多能性幹細胞のことです。
一つの受精卵から皮膚や骨や血液や神経などいろいろな種類の細胞ができるように、ES細胞はいろいろな種類の細胞を造り出せるもので、「万能細胞」とも呼ばれたりしていました。
これに対して、ミューズ細胞は自分や他人の細胞の一部を取り出してきたものです。
iPS細胞とは、皮膚などの普通の細胞を取り出してきて、それに手を加えて初期化し、どんな細胞にもなれるようにした、人工的に造った多能性幹細胞のことです。
この、人工多能性幹細胞の開発に貢献したのが、ノーベル生理学・医学賞を受賞された、カリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所上席研究員の山中伸弥医師です。

 もうお気づきになったかと思います。
ES細胞は胚から取り出されるのです。
つまり、受精卵を破壊して取り出すものなのです。
そこが問題です。

 そこで、ES細胞の移植は認められないが、ミューズ細胞やiPS細胞は受け入れ得る、というのが幹細胞移植に対する聖書的な見方ということになります。

 また、造血幹細胞については、血の使用という意味でも、判断力が求められます。
造血幹細胞自体は血液の主要成分ではありませんので、移植に聖書的な問題はありません。
ただし、造血幹細胞の移植と同時に輸血が行われる場合があります。
また、人によっては、「造血幹細胞が何から取られたか」を気にされる方もいらっしゃるかもしれません。
臍帯血や血液から取られた造血幹細胞は使いたくないから骨髄から取り出すことを希望する、という方も、もしかするといらっしゃるかもしれません。
骨髄に関しては特に聖書的な制限はありませんので。
(エホバの証人は輸血はしませんが骨髄移植は受け入れ得ると考えています。聖書は血液と骨髄を明確に区別しています。これは、イザヤ書 25:6の聖書の言葉を根拠としたものです。)

 ワッチタワーライブラリーで「幹細胞移植」と検索しても「目ざめよ!」2002年11月22日号の特集記事が一つヒットするだけです。
「目ざめよ!」のこの号は、画期的で、当時としては最新の情報を意欲的に取り上げたものでしたが、この後、幹細胞移植については、記事になるようなことは特になかったように思います。
この記事は、山中先生がiPS細胞を開発するより前の者です。
それ以後、幹細胞移植に対する聖書の見方を分かりやすくまとめたような記事は出ていません。
信者各自が自分の頭で考えれば分かるようなことではあるのですが、改めて話を分かりやすく整理した記事があるといいな、と思います。
(提供側、つまり、不妊治療をしている夫婦が受精卵をどのように扱うべきか、という視点からは、「目ざめよ!」2004年9月22日号「ものみの塔」2012年12月15日号の「読者からの質問」があります。)

資料紹介

 エホバの証人向けの文書で、幹細胞移植についての聖書の見方を説明する資料は、ここ20年間リリースされていないのですが、医師向けに提供している資料に、次のようなものがあり、幹細胞移植についての言及があります。

宗教信条と倫理観 医療に関連して
https://www.jw.org/ja/medical-library/strategies-downloads/%E5%AE%97%E6%95%99%E4%BF%A1%E6%9D%A1-%E5%80%AB%E7%90%86%E8%A6%B3-%E5%8C%BB%E7%99%82/

 この資料では、輸血のほかに、幹細胞移植、割礼、女性性器切除(女子割礼)、医療用麻薬、アルコール飲料、安楽死、信仰治療、死体解剖、臓器提供・臓器移植、人工妊娠中絶、血球ラベリングなどに対するエホバの証人の見解が説明されています。
また、エホバの証人の医療機関連絡委員会の働きや、パストラルケアの活動についても紹介されています。
基本的には、医療従事者に提供することを念頭に準備された資料ですが、私たちエホバの証人が、自分の信条をお医者様に説明するうえでの参考になると思いますので、兄弟姉妹の皆さんも一度目を通されると良いと思います。


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