エホバの証人ブログ-jw一般信者タピコの視点から

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 エホバの証人に関する話題を、一人の一般信者の素朴な視点から綴り、感想や観察を述べていきます。

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NMN、GLS1阻害剤、エクソソーム……´アンチエイジング研究はどこまで進んでいるのか(2023年2月時点)

 ここ数年、アンチエイジングに関する研究は目覚ましい速度で進んでいます。
かつては、アンチエイジングと聞くと、いかがわしい疑似科学であるとかサプリや化粧品を売る誇大広告のように思われていましたし、実際にそうでした。
しかし、最近では、老化予防がかなり現実味を帯びてきましたし、若返りについてもいずれ実現するだろうと言われています。

 1か月の間にいくつもの「ニュースになるような研究結果」が発表されています。
アンチエイジングだけでなく、医学研究が進歩する速度自体が速くなっています。
かつては新しいワクチンを作るには10年かかると言われていましたが、新型コロナウイルスのワクチンは1年ほどででき、流通もかなり速いものでした。
これには、コンピューターの処理速度の向上や細胞培養などのバイオリアクターの技術の進歩などが関係しています。

 以下に、昨今話題になっているアンチエイジングの様々な研究の概要を紹介します。
技術の進歩が目覚ましいので情報がすぐに古くなってしまうということと、私に詳細な解説を述べられるほどの専門知識がないということもあり、キーワードの紹介程度に留め、あとは各自最新の情報をお調べいただければと思います。

アンチエイジングの様々な技術

空腹はサーチュイン遺伝子を活性化させる

 しばらく前から分かっていることですが、体を若々しく保つ働きをするサーチュイン遺伝子は、空腹によって活性化することが分かっています。
沖縄県は長寿の方が多いですが、「食事は腹八分目に押さえておくという週刊」が長生きに繋がっていると言われています。

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)

 最近注目の物質で、サプリも多数出ています。(品質にはばらつきがあるようで、信頼できる良質なサプリを選ぶよう勧められています。また、NMNの点滴をしているクリニックもありますが、経口摂取以外の方法で体内に取り入れた際の効能については、信頼性の高い研究は今のところないように思われます。)
この物質が、高齢者の握力をアップさせたという研究があります。
また、あくまで一ユーザーの体験談に過ぎませんが、閉経していた女性がNMNを飲み始めたところ、月経が再開したという話もあります。
アンチエイジングとは別の話になりますが、睡眠の質も改善するそうです。
NMNについてはいろいろな研究が進んでおり、動物実験では大幅に寿命が延びたとか視力が回復したとかいう結果が出ています。

レスベラトロール

 ブドウの皮に含まれ、赤ワインに多く含まれています。
ポリフェノールの一種です。
ポリフェノールは様々な物質を表す総称で、緑茶のポリフェノールとチョコレートのポリフェノールとコーヒーのポリフェノールと野菜のポリフェノールは全部種類が違います。
よく聞く大豆イソフラボンもポリフェノールの一種です。
レスベラトロールも、生き生きとした常態を保つ助けになると考えられていて、具体的な効果については研究が進められているところです。
既にサプリもあるので、使っている方もそれなりにいらっしゃると思います。

ケルセチン

 ケルセチンという物質にも、アンチエイジングの効果があると言われており、こちらもサプリが出ています。
これもポリフェノールの一種です。
目覚ましいほどのアンチエイジング効果はないのかもしれませんが、NMNやレスベラトロールと合わせて、現時点でサプリが既に出回っているので、情報に敏感で健康志向の高い人たちはサプリを買っています。

アンチエイジングに効果的な食べ物の研究

 アンチエイジングに効果のある食べ物の研究も進んでいます。
細胞内で今サーチュイン遺伝子がどれほど活性化しているかをリアルタイムに計測する機器ができたので、このような研究を効率的にできるようになりました。
最近では、ザクロやライ麦パンが体にいいということが分かっており、テレビ番組で取り上げられたこともあり、今、ザクロジュースとライ麦パンが売れているそうです。
このほかにも、フキノトウやシークワーサーなどもアンチエイジングに良いと言われています。
もっとも、これらを普通に食べているだけでは、目覚ましいほどのアンチエイジング効果はないでしょうから、そのうち、有用な物質を取り出して濃縮したサプリや健康食品がいろいろと出回るようになると思います。

メトフォルミンのアンチエイジング効果に関する研究

 既に糖尿病の薬として使われているメトフォルミンという薬がありますが、これがアンチエイジングに効果があるのではと言われ、研究が進められています。
自費診療でメトフォルミンを出しているクリニックもあります。
研究者が70台のお父さんに飲ませたところ、体調がいい常態が続いているそうで、ずっと家にいたお父さんが海外旅行やスポーツを楽しむようになったそうです。

GLS1阻害剤

 ここまで紹介してきたものは、摂取すると幾分生き生きする、といった程度のものだったかもしれませんが、このGLS1阻害剤は、老化細胞を選択的に除去する効果があります。
このように、老化細胞を選択的に除去する薬のことをセノリティクスと言います。
この薬を投与すれば、80歳でも40台くらいの外見になり、「健康寿命120歳」が実現すると言われています。
とはいえ、最高寿命が延びることはないとも言われています。

 株式会社ユーグレナは、GLS1阻害作用のあるユーグレナエキスEXの研究を進めており、文字通り「若返る化粧品」を作ろうとしています。

完成間近の老化細胞除去ワクチン

 老化細胞除去ワクチンというものの開発が進んでいます。
老化細胞を除去するよう免疫系に働きかけるワクチンです。
2023年か2024年には完成し、5年以内の承認を目指したいとのことです。
順天堂大学大学院医学研究科循環器内科の南野徹教授らのグループが開発を進めており、世界中の研究者や投資家から注目されています。

ミューズ細胞

 山中伸弥教授が開発したiPS細胞とはまた違った、分化多能性を持った細胞(多能性幹細胞)です。
2010年に東北大学の出澤真理教授のグループによって発表され、研究が進められています。
他家移植でも拒絶反応が起こりにくいのでドナーマッチングが不要で、事前の分化誘導も不要、腫瘍化しにくいなど、とても使い勝手のいい細胞で、今後の再生医療の中心を担っていくものになると期待されています。

がん免疫療法(オプジーボ)の技術を応用して老化細胞を除去する研究

 こちらは、東京大学医科学研究所の中西真教授のグループが昨年11月に発表した者です。
老化細胞は通常、免疫の働きで回収されますが、老化細胞が出す物質が免疫細胞の表面にある分子と結びつき、免疫の働きを弱め、老化細胞が組織内に居座ることが分かりました。
そこで、老化細胞が出すタンパク質と免疫細胞との結合を邪魔する薬を投与することで、免疫の働きが回復し、老化細胞が正常に処理されるようになったそうです。
この薬(抗体)の開発は、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学高等研究院副院長の本庶佑特別教授の研究を参考に行われたそうです。

光免疫療法の仕組みを使って老化細胞を除去できるかもしれない

 がんの治療法で、光免疫療法というものがあります。
がん細胞の表面にくっつく物質と光に反応する物質を合わせた薬剤を点滴で投与すると、その薬が体内を回ってがん細胞に集まります。
その後、機械で体に光を照射すると、がん細胞がはじけて無くなるというものです。
さらに、壊れたがん細胞が飛び散ることで免疫が活性化され、自分の免疫力によっても残ったがん細胞が処理されます。
がん細胞が多い場合は光の照射を何日かかけて繰り返し行うそうです。
末期がんの患者にも仕える方法として注目されています。
もしかしたら、将来は、検診でがんが見つかっても数日程度の入院でがんが完治し、再発も怖くない(再発してもまたすぐに治療できる)ということになり、がんに対する見方も大きく変わるかもしれません。
光免疫療法は、まだ全てのがんに仕えるわけではありませんが、一部実用化されています。

 この、光免疫療法の仕組みを使って、がん細胞ではなく老化細胞と結合する薬剤を作れば、光の照射で老化細胞を一撃できるようになるかもしれないと、光免疫療法の開発者は語っています。

ヒト幹細胞エクソソーム療法(幹細胞培養上清液療法)

 幹細胞の培養液を体内に入れるもので、細胞そのものを入れるわけではないので、他人の物を入れても拒絶反応がなく、がん化の心配もありません。
自分の体で実験している研究者たちは、黒髪が増えたなどの若返り効果を実感しているそうです。
自費診療で提供しているクリニックもあります。

細胞リプログラミング

 こちらはまだ実現が具体化してはいませんが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を作る時の、細胞を初期化する技術を使って若返りが実現できないかという研究が続いています。
まだ課題は多く、「2040年代くらいに実現したらいいね」と言われているくらいですが、もし実現すれば、健康寿命だけでなく最高寿命自体も延びると考えられています。
これは、老化のペースを遅らせる技術ではなく文字通り若返らせる技術だからです。

もし、全ての技術が実用化されたら、社会は大きく変わる

 これらの技術全てが実用化されたら社会は大きく変わります。
介護を必要とする人は激減し、復職する高齢者も増えるでしょう。
女性の出産可能年齢が大幅に延びるので、少子化ということを深刻に考える必要はなく、むしろ「人口爆発」が社会問題になるかもしれません。
高齢者も働けるようになり、重度障碍者を除けば介護・介助を必要とする人はほとんどいなくなるわけですから、人口ピラミッドとか人口ボーナスとか合計特殊出生率とかいった概念自体があまり意味を持たなくなるのかもしれません。
100歳差の年の差婚とか、上司が自分より100歳下とかも、一般的な光景になるかもしれません。
何十年も大学に通って、医師と弁護士と一級建築士と第一級陸上特殊無線技士と保育士と政治家秘書など、ありとあらゆる資格を取る人もいるでしょう。
一生のうちに何十回も結婚する人もいるかもしれません。結婚が永続的な結びつきとは見なされなくなり、何人か子育てをして子供が巣立ったら別のパートナーと結婚して子育てをして、といった4,50年周期の「時限的な結びつき」と見なされるようになるかもしれません。
年金はどうなるのでしょうか。介護保険制度はどうなるのでしょうか。
既にいくつもの保険会社が、こういった将来を予見し、「終身年金」という商品の販売を打ち切っています。
米国では、「合衆国連邦最高裁判所の裁判官の任期は終身のままでいいのか」といったことが言われ始めているそうです。

 私が一つ気になるのは、人の長寿命化が新しい宗教に与える影響です。
宗教団体ができて間もないころは、カリスマ性や優れた手腕のあるリーダーが信者たちを引っ張っていきます。
しかし、創始者が没すると、その宗教はある意味での組織としての試練を経験し、難局を乗り越えた宗教団体は、二代目の時代に入り、このようにして宗教組織は成熟していきます。
二代目以降に求められるのはカリスマ性より調整力だったりします。
創始者の死という試練をうまく切り抜けられなかった宗教は、抗争が起きて分裂したり、分裂はしないまでも求心力を失ったりします。

 しかし、人の寿命が大幅に延びて、宗教団体の創始者がいつまで経っても死なないとしたらどうでしょうか。
その宗教はいつまで経っても成熟期に入らず、カリスマ的リーダーの指導力によって求心力を維持することになります。
それが社会にとって危害とならなければ問題はありませんが、優れた手腕を持ったカリスマ的リーダーがその力を誤用してカルト化の道に進むなら、大変なことになるでしょう。
(「新宗教への風当り´新しい宗教は危険な宗教になり易いのか?」という記事もご覧ください。)

人が亡くなる主な理由が「事故」、「自殺」、「他殺」になるとしたら

 医学の進歩で老化やありとあらゆる病気が克服されたら、人が死ぬ主な理由は、事故と自殺と他殺ということになります。
これはなかなかやりきれないのではないでしょうか。
病気で亡くなることは、決して嬉しいことではありませんが、患っている期間があると、当人も周囲の人たちも、死別に向けての心の準備ができるというところはあります。
しかし、事故、自殺、他殺というのは前もって心の準備をするということはできませんし、不条理さを感じる死別の形でもあります。
さらに、人が死ぬことが稀になると、例えば生まれてから30歳になるまで親しい人との死別を全く経験したことがないという人も増えてくることになります。
そのような人が初めて家族を亡くした時、それに耐えられるでしょうか。

 医学の進歩は社会構造だけでなく人々の観念も大きく変えることでしょう。

参考図書

「老いなき世界」、デビッド・A・シンクレア著、マシュー・D・ラプラント訳、東洋経済新報社  研究者が書いた本ですが、一般向けの分かりやすい内容です。NMNやレスベラトロールやケルセチンやメトフォルミンの抗老化作用などについて書かれています。

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 この記事は、以下の記事の補足記事として書かれました。

「今すぐにでも大患難が来そうな理由と、来そうにない理由」  医学の進歩によって人の寿命が大幅に延びたとしても、そのことによって大患難の時期が変わるわけではありません。正しい態度と見方で終わりを待ち続けることについて書いています。


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